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看護学のここが面白い

その人にとって一番いい状態は何かを考え、実現するのが看護の役割。どんな状態がいいのかは、人によって異なります。100人いれば100通りの方法があるのが、看護の難しさであり、同時に面白さでもあり、看護の醍醐味なのです。また、看護が対象とするのは病人や怪我人ばかりではありません。目の前にいる人の苦痛を取り除こうと考えるのは、すべて看護の精神。その考え方は、食品製造や医薬品、衛生管理など、幅広い分野で役立つものとなります。(城西国際大学 看護学部 井上映子教授)

※このコンテンツは2017年~2018年の取材に基づき構成しています

100人いれば100通りの方法があるのが難しさであり、面白さ

百人百様のケア

看護は、人とかかわる行為です。その人が何で苦しんでいるかを理解し、それを取り除く、あるいは、苦痛を感じないような環境を整えるのが看護の役割。ですから当然、看護する相手が変われば看護も変わります。
例えば、空調の設定ひとつとっても、ある人は夏は28度、冬は20度で快適だと感じるかもしれませんが、別の人は夏は20度、冬は28度に設定するのが快適だと感じるかもしれません。あるいは、コミュニケーションを図ろうとたくさん話しかけたところが、相手が萎縮して距離が遠ざかってしまうこともあります。なかには話しかけてもなかなか心を開かなかった人が、質問するのをやめて聞き役に徹した結果、向こうから話しかけてくれるようになったということもあります。
相手が100人いれば、そこには100通りの看護があります。看護する側が最善だと思っても、それがいいこととは限りません。決まりきったマニュアルがないのです。それが、看護の一番の難しさであり、同時に面白さであり、看護の醍醐味なのです。

看護学が対象とするのは病人だけではない

看護学で探究しているのは、人が最もいい状態であり続ける方法です。その対象は、病気や怪我を抱えた人ばかりではありません。
例えば、健康な人の健康を保つことも、広い意味では看護ですし、病気が治るようにサポートするのも、治らない病気とのうまい付き合い方を考えるのも、病人を支える家族の心をケアするのも、すべて看護です。高齢者を若い状態に戻すことはできませんが、老いたなりに楽しく豊かに健康に過ごす手助けができるのが看護学なのです。
また、妊婦さんをサポートするというのも看護の仕事の一つです。妊婦さんは病人ではありませんが、産前産後の母子のサポートは大事な仕事になります。いうなれば、看護学はすべての人を対象とした学問なのです。
看護学部は看護師になる人が入るところだと思われるかもしれませんが、何もそんなことはありません。保健師や助産師、養護教諭という道もありますし、人の健康をサポートする知識や技術を身につけるのですから、食品や衛生を考える力にも長けているでしょう。もちろん、専門的な学びは決して楽ではありません。それだけに志がないと続きませんが、看護師だけを目指す学部ではないということも、ぜひ知っておいてほしいと思います。

看護師の役割もどんどん広がっていく

人に関心を向けて人の心に寄り添い、理解することが重要な学問ですから、自ら主体的に動き、相手を理解しようとする姿勢が求められます。チーム医療や地域包括ケアシステムなど、さまざまな分野の人々の連携が求められる現代において、看護師の役割もどんどん広がっていきます。本学では看護学部、薬学部、福祉総合学部(福祉総合学科・理学療法学科)との専門職連携教育を入学時から毎学年実施しており、チーム医療人育成が充実しています。ぜひ主体性をもって、看護学の今後を切り開いていく人材になってほしいと願っています。

すべての力が看護に生きる

すべての人にかかわる学問ですから、今まで培ってきたものがどんな経験であれ生きてきます。わかりやすい例が性別の差です。看護師というと女性のイメージ強く、実際に女性が圧倒的多数ですが、近年男性も少しずつ増えています。泌尿器科系やがんには男性特有の疾患がありますし、入院生活を送る男児にとっては、男性が近くにいることでロールモデルとなり、成長にいい影響があることもわかっています。こんなふうに、誰の、どんな能力でも必要とされるのが看護なのです。

求められるのは主体性

その中でもぜひもっていてほしいのが、自ら主体的に取り組む気持ちです。医療は日進月歩しており、診断や治療に必要なサポートに対する知識と技術の学習を怠ることはできません。加えて重要な目的として、その人がその人らしく、健康な暮らしが送れるように支えることを忘れてはなりません。そのためには目の前の人の身体と心、そして社会のなかで生活している人としてしっかり理解し、看護師として何をすべきかを考える必要があります。受け身の姿勢では、それはとても敵いません。自らが主体的に動き、考えることから看護は始まります。

今後の看護学を支える人材へ

看護学は、まだ歴史の浅い学問です。経験で培われたことが多く、また、病院ごとのルールも少なからずあります。看護師の仕事は「診療の補助」と「療養上の世話」であり、看護師だけが行える独占業務であることをしっかりと理解して、人々の健康回復と健康維持・増進に向けて、人々の健康な暮らしを支える存在になってほしいです。
しかし、今は、チーム医療や地域包括ケアなどが盛んに言われている時代です。医療専門職、医療機関、行政、民間企業などが横のつながりをもち、連携して、予防を含めた医療や、生活者のサポートに当たることが強く求められています。これからは看護師も一専門職としての地位をますます確立していくでしょうし、一人ひとりの心に寄り添うという看護学を学んだ人は、多職種が連携するうえで、欠かせない人材となるでしょう。医療システムが転換を迎える今の時代だからこそ、これからの看護学を、そして医療を支え、先頭で切り開いていける人材が育ってくれることを期待しています。

取材協力:城西国際大学 看護学部 井上映子教授

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