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看護学ではこんな研究をしています

人の健康を保つためにできることはさまざま。しかし、高齢者にとっては、運動をしたり、食事に気を使ったりといったことが難しいこともあります。では、高齢者の健康を保つにはどのようにすればいいのか。そこで注目したのが、日常生活動作です。例えば、日常生活動作である“おしゃべり”を食事の前に行うだけで誤嚥(むせ)の危険性が減るということが経験からわかってきています。それを理論的に証明し、看護の方法として確立するために、日常生活動作を科学することをテーマに日々研究しています。(城西国際大学 看護学部 井上映子教授)

※このコンテンツは2017年~2018年の取材に基づき構成しています

高齢者の健康を保つにはどのようにすればいいのか

日常生活動作で健康寿命を延ばす

看護というと検温や注射など病院で医師のお手伝いをしているように思われる方もいるかもしれませんが、これは「診療の補助」という仕事です。患者への検査や処置、治療の介助、病状報告など、病気や治療に必要な補助やサポートです。また、看護の仕事には病気や障害をもつ人の生活を支えるという「療養上の世話」があります。病気や障害により一人で身の回りのことができない人に、身の回りの世話をしてその人らしく安心して療養生活を送れるよう手助けをすることです。さらに、看護するのは病人や怪我人とは限りません。人々が健康で、その人らしく健康な生活が送れるように手助けもします。
私は高齢者看護を専門としています。人は歳をとるとともにさまざまな力が衰えていきますが、そのなかで健康を保つにはどうすればいいか、単に長生きするというだけでなく、健康寿命を延ばすにはどうすればいいかということを研究しています。そのなかでも注目しているのが、日常生活動作です。
日常生活動作は、読んで字のごとく、日常生活のなかで当たり前にしている動作です。健康を保つために特別な運動や食事をしましょうといっても、高齢者にとってはそれが難しいというケースが少なくありません。要介護者などになれば歩くこともままならないという人もいます。しかし、運動ができないならできないなりに、できないことに目を向けるのではなく、その人のもつ力、強みは何かをみつけ、その強みを強化して最大限の健康を保つことはできます。高齢者にとって非日常となる負荷を与えるのではなく、日常的な動作をていねいに行うことでその人の生活を豊かにすることが私たちのテーマです。

おしゃべりが誤嚥性肺炎を防ぐ?

高齢になると、物を飲み込む嚥下機能が落ちていきます。健康な若者でも、飲み物が気管に入ってむせることがありますよね。歳をとるとそれと同じようなことが起こりやすくなってしまうのです。すぐにむせて吐き出せればいいのですが、食べ物や飲み物が誤って肺に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を起こし、それが元で死に至るということが多くあります。実際、高齢者の死因のなかでも誤嚥性肺炎は高い割合を示しています。
これを解決するヒントが、日常生活動作にあります。それが“おしゃべり”です。“おしゃべり”と飲み込むときの器官は同じで、食事の前に“おしゃべり”をすることで喉の筋肉のウォーミングアップになり、誤嚥(むせ)の危険性が減ることがわかってきています。話す内容は朗読でもよいですが、人と昔話をするという“おしゃべり”にすると満足感ももてることから、“昔話のおしゃべり”は、誤嚥(むせ)予防とこころの栄養になる一挙両得なケアであることが経験から見えてきました。
ただし、経験だけでは看護「学」とはいえません。また、経験を伝えることはできても、「食事の前におしゃべりをする」というあいまいな指示だけでは、現場の担当者も困惑するでしょうし、ケアの効率性や拡大など大きな効果が期待できません。今後、筋電図やサーモグラフィーなどを用いておしゃべりの効果を測定し、どんな話をどのくらいすればいいかというケアモデルを構築して、「経験」を「学問」としていきたいと考えています。

取材協力:城西国際大学 看護学部 井上映子教授

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