建築学とはどんな学問?
建築学とはどんな学問?
建築学と他の学問とのかかわり
理系だけでなく芸術的要素も必要
建築学は、構造力学といった分野を学ぶことから理系の学問と思われがちですが、美しさや芸術的側面も欠かせない要素になるため、芸術系の大学にも設けられています。最近では、理系・文系に分類できない総合力が求められる学問という観点から、独立した建築学部として設ける大学もあります。
建築学では何をどのように学ぶか
製図を表現するスキルを学ぶ
建築の世界の共通言語ともいえるのが設計図面です。建築家は、作りたい建築物を図面に表現し、情報伝達を行います。そこでまず、建築設計製図などの科目で図面の読み描きを身につけ、CADなどの科目で、コンピュータを使って設計図面を表現するスキルを養います。
建築学はこんな人に向いている
建築業界は「意匠設計」「構造設計」に分かれる
一口に建築業界と言っても、幅広い職種や会社があります。大きく分類すると「意匠設計」と「構造設計」に分かれます。「意匠設計」は、建物のデザインや設計を行い、「構造設計」は、構造計算を行い、建物の安全性を確保するのが役目になります。
建築学を学んだ後の進路と今後の展望
人によろこんでもらえる建築とは何か
建築に携わるということは、依頼主や使用する人々にいかによろこんでもらえるものを作るかというところに醍醐味があるものです。ものづくりが好きで、人の暮らしやライフスタイルの変化に関心があり、「人によろこんでもらえる建築とは何か」ということを探究し続けられる人に向いているといえるでしょう。
建築学の先生にきく
建築学ではこんな研究をしています
老朽化マンションの建て替え問題を研究
私の研究テーマは、分譲マンションの建て替え問題についてです。建て替えが必要とされる老朽化マンションは日本で100万戸あるといわれていますが、建て替えが進んでいるのはわずか250戸ほど。どうすれば、スムーズにこの問題を解決できるのか数多くの事例を調査しています。(筑波大学 芸術系・芸術専門学群デザイン専攻 花里俊廣教授)
自分が作ったものが「残る」というやりがい
建築という仕事のやりがいは、何より、自分たちが何年もかけてつくったものが「残る」ということでしょう。そして、それが何十年、もしかしたら何百年もたくさんの人たちに使われていくことになります。(東京大学 大学院 工学系研究科 建築学専攻 隈研吾教授)
建築学のここが面白い
建物をどう終わらせるか、も重要な要素
建物を建てるときだけでなく、その建物をどう終わらせるかというところにも、建築学としてアプローチが必要になります。さまざまなマンションの建て替え事例を研究し、どんな条件の場合にことがスムーズに進むのか方法論をみつけていきます。そこでうまくいくヒントに近づいたときには、やりがいを感じますね。(筑波大学 芸術系・芸術専門学群デザイン専攻 花里俊廣教授)
日本の建築技術は世界が認める水準
日本の建築の技術は、世界中が認める水準であり、実際、海外での仕事がどんどん広がっています。建築という仕事を通じてさまざまな人に出会えるのも魅力の一つ。これから建築を目指す皆さんには建築学だけでなく、語学力もおおいに養い、広いフィールドで活躍していただきたいと思っています。(東京大学 大学院 工学系研究科 建築学専攻 隈研吾教授)
もっと先生たちに聞いてみよう
実践を通じて“真の建築設計者”へと導いてくれる先生
京都建築専門学校 建築科二部(夜間)高橋 勝先生
地震に強いコンクリートづくりを実験で教えてくれる先生
浅野工学専門学校 建築工学科加藤 直樹教授
住宅から街づくりまで木造建築の魅力を知り尽くす先生
渋谷ファッション&アート専門学校 建築クリエイター科古川泰司先生
建築学の学生にきく
建築学を選んだ理由を教えて!
- 特徴ある建築物や構造物が好きだったから。
- 建築やまちづくり、インテリアなど、幅広く学べるから。
- 建築士の受験資格が得られる。
小学生のころに「江戸東京博物館」を間近で見て感動しました。元々、物のメカニズムや構造に興味があったのですが、木造建築における剥き出しの梁や、高速道路を高架下から見上げると、無機質な鉄骨の骨組みに胸が締め付けられるほど惹きつけられます。その理由が知りたくてこの学問を選びました。
(建築・環境学部 sdfgさん)
私は休みになると、テーマパークに行きたくなります。なぜそんなに惹きつけられるのかと考えたとき、世界観が好きだからだと気づきました。世界観をつくっているのは建築がすごいからだと思い、建築学部に興味を持ちました。
(建築学部 建築学部総合 かほさん)
カフェ巡りが趣味で、いろいろなカフェの内装を見ているうちに、自分でもこんなのを作ってみたいと思うようになりました。今の学部は建築だけでなく、まちづくりやインテリア、ランドスケープなど、幅広く学べること、また、卒業と同時に二級建築士の受験資格が得られるため選びました。
(芸術学部 環境デザイン学科 建築・インテリア・環境デザインコース なこさん)
きっかけは、家族で新築の家を建てるときのことです。いろいろな住宅展示場を回っていると、不思議と住宅に興味が湧いてきました。今の学部を選んだのは住宅だけでなく、室内を彩るインテリアも学ぶことができるからです。
(建築都市工学部 のんさん)
時間割と授業内容を教えて!
キャンパスライフの参考に、建築学部 建築学部総合1年生の時間割をチェックしてみましょう。
設備や空調、設計、力学など、建築の基礎的な授業のほかに、英語や第二外国語なども学べます。
1年次は、設備や空調、製図方法、力学など、建築の基礎的知識を身につけます。図面の描き方や模型を使った授業、CADを使った実践的な授業も始める大学が多いです。2年次は、実際に一から設計案を考えて模型を作って発表するなど、1年次の知識を踏まえ、モデリングやさらにステップアップした内容を学びます。
3年次は建築の専門的知識を身につけます。設計する建物や土地の規模も大きくなったり、法律に関しても難易度が高い授業が増えるのが一般的です。4年次はゼミなど、主に自主的に作業する時間が増えていきます。
建築学ではこんなテーマで学べるよ!
- 建築だけでなく、建物の形、色や模様など意匠も研究。
- 自由にテーマを設定。空間演出やデザインも学べる。
- インテリアや住宅設計、家具作りなど幅広いテーマ。
建物の形や色、模様など、建築の意匠的な部分を中心に研究しました。特に西洋と日本の違いや、昔と現在の違いなど、装飾的な部分に焦点を当てて分析し、その特徴や構造を考察しました。
(生活科学部 人間・環境科学科 りんさん)
ゼミでは建築だけに縛られず、自由にテーマを設定することができます。私は、ライブセットの空間演出について研究したので、空間デザインや演出についての知見を広めることができました。
(人間総合学群 住空間デザイン学類 建築コース おりつさん)
私の先生は北欧のインテリア、空間手法を研究しています。先輩には、住宅の設計から家具作り、施設設計などを研究している方も多くいます。建築やインテリア、空間デザインなど、幅広い研究テーマが用意されています。
(建築都市工学部 のんさん)
建築学で楽しかった演習やテーマを教えて!
- コンペさながらに図面やポートフォリオを作って発表。
- 限られた木材で自分を表現する椅子を制作。
- 建物の保存・活用方法を考察。歴史調査から提案まで行った。
印象的なのは「建築設計製図」です。2年間続く内容の濃い授業で、図面の模写と模型製作で基礎を学んだ後は、1カ月半に1つのスパンでデザインから設備、構造まで計算した図面を作り、模型とポートフォリオを制作します。何日も徹夜してなんとか仕上げても厳しく評価されるのでなかなかハードな授業でした。
(建築・環境学部 sdfgさん)
「環境デザイン3」での椅子を作る授業が特に印象に残っています。限られた木材で自分を表現する椅子を制作しました。発想力が大事なことに気づき、また木の扱い方についての知識も身につき、大変充実した授業でした。
(芸術学部 環境デザイン学科 建築・インテリア・環境デザインコース なこさん)
建築の実技で「キャンパスのカフェ」をテーマに考察・制作を行いました。実際の寸法をしっかり考えながら図面やデザインに落とし込むなど、制作はとても大変なものでしたが、その分完成したときは大きな達成感が得られ、満足感でいっぱいです。
(工学部 建築学科 aさん)
楽しかったのは「保存再生学コース」です。3つの建築から1つ選び、チームでその建物をどのように保存・活用するのかを考えて、歴史調査から提案まで行いました。研究だけでなく、さまざまな講師から保存再生のレクチャーも受けることができ、大変学びがいがありました。
(工芸科学研究科 建築学専攻 みさん)
建築学を学んでみてどうだった?
- 建築を通じて地域や環境にも関心が高まった。
- デザイン設計が重要。美術系に近い学問だと思う。
- 建築は、未来の街並みに影響する重要なもの。
建築は環境と密接に関係していることに気づきました。建物や対象地域に関して何か要素を加えたり差し引いたりする場合、考慮すべき点は限りなくあります。建築設計やデザインは、自己満足では成り立たないと強く感じています。
(デザイン工学部 建築環境デザイン学科 鈴木さん)
構造も大事ですが、デザイン設計にも重きが置かれるので、想像していたより遥かに美術系に近い学問だと感じました。建築を目指すなら、高校までに美術もしっかりと学んでおくと有利だと思います。今後は、人に寄り添えるような建築が設計できるようになりたいです。
(建築・環境学部 sdfgさん)
建築の歴史はまだまだ不明瞭な部分が多くあります。今後さらに歴史が解明されることで、今ある建築や街が積極的に保存され、未来の建築や建築界に影響を与えていくことになると思います。私はその一助となる研究を行っていきたいと考えるようになりました。
(工芸科学研究科 建築学専攻 みさん)
記事はスタディサプリ編集部が建築学を学ぶ学生に対して独自に行ったアンケートへの回答をもとに構成しており、実際の履修内容は各学校により異なる場合があります。各学校についての詳細な情報は学校ページにてご確認ください。
もっと在校生たちに聞いてみよう
将来、人のこころに残る大きな建物を建てたいです!
横浜日建工科専門学校 建築設計科
宇賀神僚汰
住む人が快適に過ごすための家を設計するためにも、建築士だけでなくインテリアコーディネーターの資格にも挑戦したいです
京都美術工芸大学 建築学部 建築学科
品川 紅葉さん
子どもの頃の遊びは、間取りを想像したり、図面を描くことでした。今もその延長で、建築学を楽しんでいます
京都美術工芸大学 工芸学部(現:建築学部) 建築学科
小林 宥見佳さん
もっと卒業生たちに聞いてみよう
設計に向いているという先生の一言から現在の仕事に。難しさとやりがいを感じています
東京デザイン専門学校 インテリアデザイン科 住宅設計専攻
石川 あすかさん
周囲から頼りにされる現場監督に。建物が完成に近づいている様子を見ると感動します!
札幌科学技術専門学校 建築技術学科 卒
大峠 涼乃さん
自分のアイディアが形になる。デザインの仕事の魅力はこれに尽きます!
大阪工業技術専門学校 I部建築学科 ※同学科を卒業後、建築士専科に進学(2019年3月修了)
植村 祐希さん
建築学に関連する本
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