世界を変えるU33

ものづくりで世界を変える

MixiCheck

日本のエコ技を世界に広めて、
環境問題を解決する。

大塚 玲奈(おおつか れいな)さん
株式会社エコトワザ 代表取締役

大塚 玲奈

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Interview Q1.どんな問題に取り組んでいますか?

「エコ技商品を通して、環境問題を身近に感じてほしい。」

—大塚さんが代表をつとめるエコトザワの取り組みを教えてください?

日本には古くから伝わるたくさんのエコロジカルな知恵と技があります。
たとえば、昔から炭は消臭や調湿効果があることが知られています。
エコトワザであつかっている消臭&調湿効果のある炭の紙は、湿気や臭いの溜まりやすい冷蔵庫や食器棚、靴箱などで使われています。
実はこれ、産業廃棄物だった梅干しの種を炭化させてつくっています。

そんな日本の古くて新しい「エコ」と「ワザ」を再発見し、環境にやさしい商品や知識、アイデアを世界に向けて発信して、ひとりひとりの日常生活に変化をおこすことで、環境問題の解決に取り組んでいます。

毎月いろいろなエコアイディアと実践の材料が届く通信講座TOMORROW BOXをはじめオンラインショップでエコ技商品を販売したり、環境問題を一緒に考えるワークショプなども行っています。

環境問題は、長年さまざまな取り組みが行われてきましたが、結局は、自然のなかに生きる人と人との問題です。 私たちひとりひとりが、まず自分の生活を振り返り、そしてお互いを理解し、影響し合いながら、生き方を考えていく。
それが、環境問題を解決する鍵になる。

自分が変わることが、世界の問題を解決する第一歩になると思っています。

—日本でも環境問題は長年議論されてきました。特に東日本大震災以降は人々の価値観も変わったと言われています。

2011年の震災がおきる前まで、エコトザワのサイトは海外向けに英語版のみでした。
ですが、震災後、日本人の方から問い合わせが急増し、日本語版もつくることにしました。

以前までなら、環境問題というと少し身構える話題だったかもしれませんが、最近では、生活の延長として環境問題を捉える人たちが増えてきていますね。
無駄のない暮らしをしたい。里山を大事にしたい。健康に暮らしたい。
そんな生活への想いと環境へ配慮することが、特別に意識することなく当たり前の感覚として、つながっているのだと思います。

私たちは小売業ですが、商品だけではなく、体験まで販売していると思っています。
TOMORROW BOXでは、毎月、いろいろな商品のお届けとともに、その商品の適切な使い方、生まれた背景までお伝えしています。

肌にいい石けんを使いながら、それが実は水質汚染の解決につながっていることを実感できれば、さらに環境への意識が高まるかもしれません。
そして、製品の知識や環境への想いを家族で話したり、友だち同士でシェアしたりしていけば、その和も広がっていく。
そういった方を少しずつ増やしていって、環境問題解決に向かっていきたいですね。

TOMORROW BOXは、毎月いろいろなエコアイディアと実践する材料をお届けています。

Interview Q2.今の取り組みをやろうと思ったきっかけは?

「世界の問題を解決する側にいくか、誰かが解決するのを待つか。」

—環境問題に関心をもったきっかけは?

子どもの頃から喘息で、空気が汚れていると咳が出てしまいます。
空気がキレイか、そうでないかには自然と敏感でした。

また、10歳くらいの頃に湾岸戦争がおきて、黒いオイルが海に流れ出る映像を見て、自然が破壊されていけば、私たちの体も汚れていくことを実感しました。

2歳から10歳までアメリカで育ち、常々「世界に責任をもちなさい」と教え込まれていたことも影響していると思います。
その頃から環境問題への関心は芽生えていました。

—エコトワザのアイデアは、どこから生まれたのですか。

高校を卒業する頃には、環境問題はボランティアではなく、経済活動の中で取り組まなければ解決しないと考えていましたね。
それで、大学では、環境サークルを立ち上げて、起業を目指したり、都市計画を行っていた建築事務所でアルバイトして、海外に企画を提案しに行ったり、ベトナムの都市計画プロジェクトに参加させてもらったり、積極的に行動していました。

大学3年生の時には、1年間、アメリカに留学しました。
現地で、日本のことを紹介していくなかで、神様が800万人(八百万の神)もいると言ってみたり、日本酒がおいしいとか、「もったいない」「いただきます」といった言葉の中に精神が込められている文化とか、あらためて日本って面白いな、ステキだなと再発見したんです。
日本古来のエコ技に興味を持ちはじめたきっかけですね。

また、留学中の2001年に、アメリカで同時多発テロが起き、私のいた国際学生寮では、アラブ系を含め多くの人種・国籍・宗教の学生が複雑な感情をぶつけあっていました。
けれど、「誰かが、争いをやめようと呼びかける一人目にならなければいけない。
それが私たちだ」という寮長の演説をきっかけに数十ヶ国の学生の心が1つになりました。

世界を変えるには、誰かが世界に呼びかける「一人目」にならなければいけません。
その時、環境問題という人類共通の社会問題に対して、私はもちろん、多くの人たちに「一人目」となってほしいと思い、日本のエコ技と世界をつなぐ架け橋になりたいと思いました。

大学卒業後は、環境問題に取り組む会社を立上げたいと思いながら、リクルートに就職し、起業のタイミングを伺っていました。
ですが、仕事のやりがいも大きく、また、魅力的な人も多かったので、なかなか起業に踏み切れませんでした。

ある時、アメリカ副大統領だったアル・ゴアの「不都合な真実」という映画を観たんです。
内容は、経済と環境は両立させなければならないというメッセージでした。
観客は、ものすごく共感していました。
でも、それって私が高校生の頃、考えていたことだ!って、思い出したんです。
それで、世界の問題を解決する側にいくなら、今だと思い翌日に会社に辞表を出して、エコトワザを立ち上げました。

外国人の方々とのワークショップにて。環境問題は、世界共通の問題です。

Interview Q3.どんな高校時代でしたか?

「世の中をもっと知っていれば、違う選択をしていたかも。」

—大塚さんの高校時代を教えてください。

中学・高校一貫の進学校でしたが、校則が4つしかない自由な学校で、体育祭の実行委員会や、器械体操部に所属して、勉強以外のことにばかり夢中になって高校生なりに忙しくしていました。

—進路は、どうやって決めたのですか?

高校の卒業式で答辞を読むことになり、センター試験の帰り道、自宅近くの歩道橋の上で、あらためて自分の将来について考えました。

元々環境問題に関心はあったのですが、学校で教わってきた考え方では、自然環境は資源と呼ばれ、経済の一部だと言っているように思えました。
でも、考えて、気づいたんです。
本来は自然環境のなかに、人間社会があって、経済がある。
だから、資源のために自然を「守る」という発想をやめて、自然の循環の中で謙虚に成長するような経済に変わらないと、世界は変わらないし環境問題は解決しないと思ったんですね。
高校を卒業する頃には、環境問題を生涯のテーマにしようと決めていました。

当時は、貿易や国際機関など世界を飛び回るような仕事をしたいと思っていたので、国際関係論を学べる法学部に進学しました。

ただ、今思えば、海外の進路も考えればよかったかもしれません。
アメリカの大学に行っていれば国と国とを意識することなく、発想のスケールももっともっと大きくなっていたかもしれませんし、そもそも文系、理系で悩むこともなかったかも。

高校時代は、親や周りの大人の人の仕事以外、なかなか知る機会はないと思います。
私の場合は、商社につとめる親と先生くらいしか仕事のイメージがありませんでした。
元々、数学が得意で理系だったのですが、理系の仕事は医者くらいしか思いつかなくて。
本当は、いろいろな学部もあるし、その先も建築家とかエンジニアとか、医者以外にもたくさんの職業があるのに、知らないだけで想像もしなかったのです。
結局、医者になる未来には興味がもてず、高校2年で文系に転じました。
当時は、文系の方が学部の想像がつきやすかっただけで、今思えば理系学部や海外など、広く可能性を探らなかったのはとても後悔しています。

今は、情報がたくさんある時代ですから、情報をたくさん集めて、選択肢を広げて考えてほしいですね。

高校では器械体操部に所属していました。体育祭の実行委員会もしていて、活発に活動していました。

Interview Q4.高校生のみんなにアドバイス!

「人生に迷っても、立ち止まらなければ、前へ進む。」

—人生の先輩から高校生へメッセージをお願いします。

小学生の時の夢が、一番なりたいものだったりするそうです。

私の場合は、外交官とナウシカ(笑)。
ナウシカはアニメの世界ですが、今、世界をフィールドに、環境問題に取り組んでいるわけで、あながち外れてもいないかなと思っています。

親の意見だったり、苦手科目だったりに、進路や夢がさえぎられる瞬間もあると思います。
その時に、自分の過去を振り返ってみてはどうでしょうか。
今の自分をここまで築き上げてきたものは何だろうと、原体験を探ることで、自分のやりたかったことが見つかると思いますよ。

何をやるにしても、自分がやる意味を見出せないとつらくなると思います。
「なんでこんなこと、やってるんだろう」と思ったらパワーも出ないですよね。
でも、目標が見つかっていれば、たとえ大変な思いをしても、夢を叶えるための準備だと思えれば乗り切れるはずです。

勉強も、目標とつながっていれば、やる気も出てくると思います。

私は就職活動中に、一瞬死を覚悟するような事故に遭いました。
その時、思ったんです。
「やりたいこと、ぜんぜんできてない!まだ死ぬわけにはいかない」って。

人生、迷うこともあると思います。
でも、迷ったからって、立ち止まらないこと。

人生は、綱渡り。綱渡りは、一歩ずつでも先に進まないと落ちてしまいますからね。
なんでもいいから、ちょっとずつ前へ進めばいいと思います。

小学校の頃の夢は何ですか?実はあなたが一番やりたいことなのかもしれませんよ。


大塚 玲奈(おおつか れいな)さん
株式会社エコトワザ 代表取締役

・1980年米国生まれ。33歳(2014年3月現在)。
・一橋大学法学部卒。在学中に米国力リフォルニア大学バークレー校交換留学。
・リクルートを経て、2006年にエコトワザを設立。
・環境問題を解決する日本のエコ技商品を全国から発掘し、オンラインショップで販売。
・エコ技を持つ日本企業の海外進出のサポートや環境問題のワークショップなども行う。