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薬学ではこんな研究をしています

体内時計と生活習慣病の関係というのが、私の研究テーマ。不規則な生活になると、あるたんぱく質の働きに異常が表れ、それが肥満の原因となることを突き止めました。さらに研究が進めば、生活習慣病の予防や治療、体内時計と薬の効果との関係などの解明にもつながると考えています。(日本大学 薬学部 榛葉繁紀教授)

※このコンテンツは2017年~2018年の取材に基づき構成しています

肥満の原因の一つはたんぱく質にあった

体内時計と生活習慣病の関係を解き明かす

薬学の主な目的は、一つが新薬の開発、もう一つが、薬の作用や副作用を理解し、正しい使い方を知ることです。そしてそのためには、人の体のしくみや病気の原因を解き明かさなければなりません。
私が研究しているのは、体内時計と生活習慣病の関係です。メタボリックシンドロームなどの生活習慣病は、現代の医学において大きな課題となっています。その原因を明らかにすることができれば、予防や治療の方法を確立する足掛かりになると考え、研究に取り組んでいます。

研究室の風景

肥満の原因となるBMAL1

その研究成果のひとつが、メタボリックシンドロームや糖尿病にかかわるたんぱく質の発見です。人の体の中には、体内時計をつかさどる「時計遺伝子」というものが何種類も存在します。そのなかに、BMAL1(ビーマルワン)というたんぱく質があります。
BMAL1とは、Brain and Muscle Arnt like protein 1の頭文字をとって名付けられたもので、「脳と骨格筋を中心に発現する時計遺伝子のような役割をするたんぱく質のなかで最初に見つかったもの」という意味になります。これは、脂肪を貯蔵するための酵素を作ったり、脂肪を分解する酵素を減らしたりする作用があります。通常は日中に数が減り、夜になるにつれてその数が多くなるという性質をもっており、それによって体内の脂肪、つまりエネルギーの量をちょうど良く調節してくれるのです。
ところが、何らかの理由で生活リズムが崩れると、このBMAL1の働きに異常が起きることが、マウスを用いた実験で明らかになりました。BMAL1がうまく働かなくなると、脂肪を必要以上に貯めこむようになってしまい、肥満になったり、さらには、メタボリックシンドロームや糖尿病といった生活習慣病を引き起こしたりしてしまうのです。
この結果は、体内時計と生活習慣病には強い関係があることを示しています。「夜は食べすぎない方がいい」「規則正しい生活のほうが健康にいい」というのは昔から常識のようにいわれていますが、その科学的な根拠が見つかったわけです。
こうした研究が積み重なれば、不規則な生活によって病気になる原因の解明やその予防法の確立につながります。また、医薬品やサプリメントなどを含む薬に関して、いつ飲めば最大の効果を得られるのかといったこともわかるようになるかもしれません。それを目指して、今も研究を続けています。

取材協力:日本大学 薬学部 榛葉繁紀教授

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