勉強スケジュールの立て方。すらすら進む、挫折しないコツは?【スケジュール書き方例付き】

日々の勉強を効率的にこなすためにも、受験という目標を達成するためにも、スケジュールを立てて計画的に学習を行うことが大切。

とはいえスケジュールの立て方が分からなかったり、スケジュール通り学習が進まずに挫折してしまったりと、スケジュール管理に苦手意識がある人も多いかもしれない。

そこで受験合格を目標としたスケジュール帳「赤本手帳」を出版している、教学社の編集部に話を聞いた。

毎日の学習スケジュールの立て方や、受験のための長期的なスケジュールの立て方を教えてもらったので、参考にしよう。
◆教えてくれたのは

教学社 編集部

大学入学試験の過去問題集『赤本』をはじめとして、大学受験に役立つ様々な問題集・参考書を発行している出版社。
毎年受験勉強のための自己管理に役立つ『赤本手帳』を出版している。

なぜ勉強のスケジュールが必要なの?

高校生活は忙しい。

日々の授業や部活などの短期的な活動と、中期目標である定期テストや模擬試験、そして長期目標の大学受験対策の、3つのバランスを取らなければいけない。

そのために必要なのは、やるべきことの総量の把握と、適切な時間配分だ。

学習時間の使い方が悪いと、テスト前や受験前に時間が足りなくなったり、プライベートの時間が確保できなくて、疲れ切ってしまうことも……。

効果的なスケジュールの立て方を知って、勉強を頑張りながら、プライベートも楽しめる、充実した高校生活を送ろう!

勉強スケジュールの作り方は?

勉強スケジュールの作り方は?

※勉強スケジュールを立てるには、必要な学習の総量を把握することが大事

勉強のスケジュールを立てる最大のポイントは、場当たり的にならないように、最初に学習すべき総量を把握することだ。

具体的に目標を決めたら、その期限までにやるべきことを把握し、どれだけの時間を学習に使えるかを見積もって、やるべき内容を割り振っていく。

そのためにはいくつかのステップを踏む必要がある。

具体的なステップは次のようなもの。

STEP1:自分にあったツールを選ぶ

STEP2:大学受験という長期目標から学習すべき総量を把握する

STEP3:大まかな学習目標を達成するための中期目標(1か月~3か月)に沿ったスケジュールを立てる

STEP4:日々の学習を進めるための短期目標(1週間~1日)に沿ったスケジュールを立てる


STEP5:中期短期ともにスケジュールを消化した後で、振り返りを行う

STEP6:振り返りをもとに今後のスケジュールの軌道修正する


次からステップごとに細かい方法を見ていこう。

STEP1:自分にあったツールを選ぶ

勉強スケジュールを立てるために、まず先の予定を立てたり、過去の記録を見返したりしやすいツールを用意しよう。

成績アップには「目標設定→TO DOの作成→振り返り→改善」の繰り返しが欠かせない。

そのためには、先々の予定を確認しつつ目標を設定したり、過去の結果を振り返ったりできるツールを使う必要がある。


ここを押さえられれば、紙のカレンダーや手帳、アプリでも、使いやすいツールを使ってOKだよ。

今回は監修をしてもらった教学社の『赤本手帳』のスケジュールを参照しつつ、勉強スケジュールの立て方を解説する。

後で実際の『赤本手帳』を使ったスケジュールの書き方のサンプルも紹介するので、参考にして、自分に合ったツールを選ぼう。

STEP2:大学受験という長期目標から学習すべき総量を把握する

スケジュール作りのコツは長期目標から逆算して、中期目標、短期目標を決めること。

この記事の読者の多くは、高校生活のなかでの長期目標は大学合格になるはず。

だから大学受験を意識したうえで、年単位、月単位、そして毎日の学習計画を立てるとGOOD!

「大学受験を考える高校生は、まずは長期目標である大学受験の志望校を決めて、力を入れるべき教科を知りましょう。

高校1年生、2年生だったら、まだはっきりと志望校が決まっていない人もいるでしょう。

しかし長期目標を設定すると、『志望校合格のためにやらなければならい事』を洗い出すことができ、効率的なスケジュールが立てやすくなりますよ。

志望大学によって必要な受験科目も違いますし、理系なのか文系なのか、国立大学を目指すのか、私立大学を目指すのか、その出題傾向によっても、日々力を入れるべき教科は変わります。

共通テストで必要な科目や個別学力試験の科目や配点、入試方式や日程、出題傾向などを書き出します。

『志望校合格のためにやらなければならい事』を俯瞰で見て、それを実現するためには何をすればよいかを考え、大まかに年間の目標を立てましょう」(教学社 編集部)

STEP3:大まかな学習目標を達成するための中期目標(1か月~3か月)に沿ったスケジュールを立てる

スケジュールは、大学受験を目標とした長期、学校の定期試験などを区切りとした1か月~3か月の中期、日々の学習の進捗を書き込む1週間~1日単位の短期、と期間を分けて書いていく。

長期目標の大学受験に関しては後に別の章で詳しく伝えるので、ここでは中期目標の立て方を解説する。

中期のスケジュールは定期テストや学期の区切りを意識しつつ、1月分の予定表に書き込んでいくよ。
「1か月~3か月ぐらいの期間を意識して、『この問題集を終わらせよう』、『この単元までは終わらせよう』というような、達成すべき目標を設定しましょう。

次に目標を達成するには何をすればいいかを考えて、1か月ごとのTO DO(やること)を書きます。

やるべきことをTO DOに書き出して、終わったらチェックを入れていけば達成度が一目瞭然。

また1カ月の間には定期テストがあったり、学校行事があったり、模試があったりすると思うので、そういったイベントを把握しましょう。

1カ月の学習が終わった後は、TO DOの達成度を確認しながら1カ月の学習を振り返りましょう」(教学社 編集部) 

STEP4:日々の学習を進めるための短期目標(1週間~1日)に沿ったスケジュールを立てる

STEP4では短期目標を設定し、それに沿ったスケジュールを立てる。

具体的に学習をした内容も記録することが、短期スケジュールを記入する際のポイントだよ。

●1週間単位のスケジュール

具体的なその週の予定を俯瞰して何曜日に何時間学習が可能なのかを見積もり、週間のTO DOリストを作ろう。
「1週の間には、放課後に部活動や予備校の授業がある曜日もあるでしょう。

まとまった時間が取れそうなときに、何をやるのか、あらかじめ考えておき、1カ月のスケジュールで書き出したTO DOを、1週間に落とし込みます。

加えてその週に何を目標とすればいいのか書いてみましょう。

1週間の終わりには、振り返りも忘れずに」(教学社 編集部)
●1日単位のスケジュール

1日の学習すべきことや、勉強する時間、実際にやった内容などを書き込んでいこう。
その日に実際に勉強した内容や時間を記録します。

次に何をすべきかを見極めるために、記録をつけ、振り返ることができる状態にしておきましょう
」(教学社 編集部)

STEP5:中期短期ともにスケジュールを消化した後で、振り返りを行う

長期、中期、短期などの期間にかかわらず、スケジュールを立てるときには目標を立てて、それをTO DOに落とし込んだら、スケジュールの期間が終わった段階でTO DOをどれぐらい消化できたのかを振り返る必要がある。
「中期(1か月~3か月)においても、短期(1週間~1日)においても、スケジュールをこなした段階で、達成度を確認しましょう。

TO DOがどれぐらい消化できたか、テストがあったらその結果はどうだったか、日々のモチベーションは保てたかなど、振り返り、その考察の結果を記入します。

例えばTO DOが消化できてないとしたら、学習時間が少なすぎるのか、TO DOが多すぎたのかなど、反省点が見えてくるはずなので、忘れないように書き留めておきましょう」(教学社 編集部)

STEP6:振り返りをもとに今後のスケジュールの軌道修正する

スケジュールは立てっぱなしでは意味がない。

振り返りの結果を元に、今後のスケジュールの軌道修正をしよう。
振り返りの結果見えてきた改善点を元に次の目標を立てたり、既に立てた目標を手直ししたりします。

『目標設定→TO DOの作成→振り返り→改善』のプロセスを繰り返すことで、次第に精度の高いスケジュールが立てられるようになるはずです」(教学社 編集部)

やるべきことだけでなく、その結果を記入し振り返りをする

※「目標設定→TO DOの作成→振り返り→改善」のプロセスを繰り返そう

受験勉強の勉強スケジュールの作り方は?

受験勉強の勉強スケジュールの作り方は?

※大学入試を目標にしたスケジュールの立て方は?

受験勉強という長期目標に対応したスケジュールを作るときは、高校2年生の1月(高校3年生になる3カ月前)から、高校3年生の3月までの15か月間を俯瞰でき「入試の流れ」が分かるスケジュール表を作ろう。

そこに入試の出願日程や試験本番日程など、目標となる事柄や時期を書き込んで、ひと目で見渡せるようにする。
入試関連の年間スケジュールを見開きで見渡せるページを作ります。

推薦入試の選考がいつから始まるのか、共通テストや私立大学の出願がいつからなのか、またテスト本番がいつなのかということを書き込みましょう。

『赤本手帳』には入試関連の年間スケジュールをあらかじめ見開きに書き込んだページがあり、人気のコンテンツです」(教学社 編集部)

受験勉強であっても、具体的なスケジュールの作り方のSTEPは、前の章で紹介した勉強スケジュールのSTEPと同じ。

しかし、受験勉強のスケジュール作りならではのポイントもいくつかある。

それは、振り返りの際に模擬試験の記録から自分の現在地をしっかり確認することと、志望校の傾向と対策をつかむため過去問題集を活用することだ。

次から、詳しく見ていこう。

POINT1:模擬試験の記録をつけ振り返りする

長期の目標である大学受験のスケジュールを立てる際に、道しるべとなるのが、中期目標である定期テストや模擬試験の結果。

テストの結果はしっかりと記録して、現状を把握しよう。
「模擬試験や定期テストは、スケジュールを立てる際の中期目標となります。

やりっ放しではなくしっかりと結果を記入して振り返り、現状把握や課題発見に役立てましょう。

科目ごとの得点や平均点を記入し、模擬試験なら順位や判定も書き込みます。

目標点を予め書き込んでおいて、目標との点差を振り返り、次回のスケジュールを立てる際の参考にするとよいですね
」(教学社 編集部)

POINT2:傾向と対策をつかむため過去問題集を活用する

過去問題集を活用する

※過去問題集を解いて、目標と現在の実力の差をつかむ

長期目標を立てるには、志望校の出題傾向を知ることが必須だ。

そのためには、入学試験の過去問題集を活用しよう。
「過去問題集『赤本』には、その大学の傾向と対策が記されていますので、まだ入試問題自体が解けない段階でも、傾向と対策に目を通して、何を重点的に勉強するべきかを確認しましょう。

入試までに学習すべき内容の総量把握に役立ちます
」(教学社 編集部)
大学受験のスケジュールの立て方について、ポイントを挙げてきた。

方法を聞いただけでは、なかなか実行が難しそうだと思う人もいるかな。

次からはスケジュールを活用して、無理なく学習を進めるコツを紹介するよ。

挫折しない!無理なく学力アップにつながるスケジュールの作りのコツは?

挫折しないスケジュールを立てるために大事なのは、TO DOを詰め込み過ぎないこと。

そして自分の立てた予定をこなすだけではなく、学習した内容をしっかりと身に付けることだ。

スケジュールは詰め込み過ぎない

スケジュールを立てるときは、ついあれもこれもと欲張ってしまいがちだけど、詰め込み過ぎているとつまづいてしまったときにリカバーすることが難しい。

だから予定通りに進まないことがストレスにつながらないよう、余裕を持ったスケジュールを立てよう。
1週間の間に予定を入れない日をつくる。

また1日のスケジュールのなかで1,2時間は何も予定を入れない時間を作るなど、あえて隙間のあるスケジュールを組みましょう。


その時間はこなせなかったTO DOをこなすための時間にあてたり、翌日や翌週のTO DOの先取りにあててもいいでしょう」(教学社 編集部)

TO DOに落とし込んだ学習内容が、身に付いているかをチェックする

予定をこなすことに囚われて、学習内容を身に付けることが二の次になってしまっては意味がない。

きちんと身に付く勉強をしているかどうかを確認するため、達成度のチェックが必要だ。
「手帳の記入だけが充実していても、実際問題を解いてみると解けないということでは意味がありません。

問題を解いたら答え合わせをしたり、暗記事項をチェックしたりして達成度をはかりましょう。

できないところを割り出し、それを解消できるように今後のスケジュールを組むことが必要です」(教学社 編集部)
予定をかけない場合は、記録だけでもOK

※予定を全てこなせなくても、次につながる振り返りができればOK

勉強スケジュールの書き方サンプル例は?

1カ月、1週間のスケジュールの立て方を、サンプルを元に確認しよう。

1カ月の勉強スケジュールの具体例

1カ月の目標を立てて書き込む。

その目標をどうしたら達成できるかを考え、TO DOとして書き出そう。

日付けの部分には、定期試験や模擬試験の予定、大学入試関係のスケジュールなどを記入。

振り返り部分には反省点や改善点を記入して、次月の計画を立てる材料にしよう。

1カ月間のスケジュール

※『赤本手帳』の記入例。1カ月間のスケジュール。定期テストや模試の予定はもちろん、受験校のオープンキャンパスや出願などの予定も記入しよう
(画像提供 教学社)

1週間の勉強スケジュールの具体例

1週間の目標を立てて、曜日ごとにTO DOや、予定を書き込む。

振り返り部分には反省点や改善点を記入して、次週の計画に活かそう。
1カ月のスケジュール

※『赤本手帳』の記入例。1週間のスケジュール。1週間ごとに目標設定と振り返りをすると、次のスケジュールを立てるための材料になる
(画像提供 教学社)

勉強スケジュールの立て方Q&Aに編集部が回答

勉強スケジュールの立て方Q&A

※みんなのスケジュールに関する疑問に答えるよ!

いざ勉強スケジュールを立てようとすると、「1日の勉強時間は?」「暗記はどの時間がいい?」など、細かい疑問が出てくるもの。

そこで、高校生のみんなから寄せられた疑問について、編集部が調査して回答。 迷ったときの参考にしてみよう。

1日何時間勉強すればいい?

東京大学の現役生に聞いた、高校時代の各学年での平均学習時間は、次のようになった。

高校1年生 平日は1日平均2.4時間、休日は1日平均3.5時間

高校2年生 平日は1日平均2.9時間、休日は1日平均4.2時間

高校3年生 平日は1日平均6.3時間、休日は1日平均8.6時間


高校1年生から高校2年生にかけて勉強時間がやや増え、いずれも平日より休日のほうが1時間程度長い。

高校3年生の春から徐々に勉強時間が増えていき、高3受験期は平均7.5時間だった。

現在の学力、目標によって異なるため一概には言えないので、あくまでも参考として欲しい。

※スタディサプリ進路編集部調べ 2021年12月に東大生50人にアンケートを実施

★東大生の勉強時間を詳しく知りたい人はチェック!
東大生の1日の平均勉強時間は7.5時間。勉強時間を増やすコツは?現役生50名に聞いた!

暗記はいつやるべき

大学生200人へのアンケート調査では、夜寝る前派と朝起きてから派が多かった。

夜暗記した範囲を、記憶の定着のために、朝もう一度勉強すると答えた人も一定数見られた。

夜暗記した範囲を、記憶の定着のために、朝もう一度勉強すると答えた人も一定数見られた。

次に多かったのは、電車の中などの隙間時間を活用している人だ。

人によって頭が冴える時間は違うので、いつが自分にとって最適な学習時間なのかは、様々な時間帯に暗記をして効果を試してみよう。

※スタディサプリ進路編集部調べ 2023年11月に大学生200人にアンケートを実施

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東大生98人に聞いた! 効率的に覚えられるオススメの暗記法

仮眠はいつ、何分がいい?

勉強の効率を上げるためにベストな仮眠時間は5分。

仮眠の準備から睡眠、起床までの合計時間を15分程度と考えよう。

研究によれば、30秒から1分程度の短い眠りでも効果があることがわかっている。

逆に30分以上の仮眠を取ると、深い眠りに入ってしまい、目覚めたいと思ってもすぐには起きられなかったり、無理に起きてもボーッとしてしまうことがあって、逆効果になるそうだ。

※スリープクリニック調布院長の遠藤拓郎先生へのインタビューによる。

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スケジュールを立てる習慣が目標の達成の手助けになる

スケジュールを立てる習慣が目標の達成の手助けになる

※スケジュール管理で目標達成に近づこう

スケジュールを立てることは、目標達成のためにやるべきことをリストアップしたり、達成度を可視化したりする手段だ。

今回の記事で学習スケジュールを立てるポイントを身に付けたら、さっそく実践してみよう。

最初は上手くできなくても構わない。

書き続けていくうちに、目標達成のためにやるべきことや、今の自分に足りない部分が見えてくるはずだ。
今回記事の参考にしたのは、大学受験生のための『赤本手帳』。

『赤本』で有名な教学社が、合格者の声から制作した手帳だ。

入試の流れが一目でわかる年間スケジュールや、志望校プロフィール記入欄、合格者からのコメントなど、受験生のための工夫が満載だ。

赤本手帳書影  (画像提供 教学社)
赤本手帳(2025年度受験用)プラムレッド 定価1,430円(本体価格1,300円)

取材・文/蜂谷智子 取材協力・監修/教学社 編集部 構成/寺崎彩乃(本誌)
※2023年10月取材時の情報になります。

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