カレッジマネジメント187号
42/64

46問題に即して、人文・社会科学の教育モジュールも併せて学習できるとよい。なお教育モジュールは旧来の科目より細かい単位に細分化し、必要部分のみを組み合わせられる、柔軟性の高いものが想定されている。変わるのはカリキュラムだけではない。学習の場としてのキャンパスの設計も変わるとMITの報告は指摘する。無線LANが全学に行きわたり、学生がモバイル端末を通じて学習するようになると、物理的な「教室」という場に学習の場を固定する必要がなくなる。黒板とチョークの教室が、クラウドとオンライン・フォーラムにつながるノート型パソコンへと変わり、これに実地演習がブレンドされる。試験用紙の回収・採点といった手間は省かれ、自動的かつ瞬時の採点やフィードバックが可能となり、複数のピアからのコメントを得ることも可能となる。一方通行の大講義室は不要となり、少人数のグループ・ワークの場のほうが重要となる。知識伝授はオンラインに移行するためだ。実世界では、反転授業やブレンド型学習を通じて、議論や演習が対面でなされるようになる。こうした場合、学習の場としての教室はどのような形状で、どのような場所に設置することが望ましいのか?これへの一般的な回答は、アクティブ・ラーニングに適した可動式かつ組み合わせ自由な机や椅子を配備した教室や、近年脚光を浴びている図書館におけるラーニング・コモンズであろう。MITはTEAL(Technology Enabled Active Learning)という、物理学を協働学習で学ぶためのラーニングスタジオを開発した先駆者であるから、こうした発想に基づく教室設計は、既に10年以上前から行っている。リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014実世界と仮想世界を連続的につなぐキャンパス・デザイン図表2 スタンフォード大学 オンライン教育推進体制スタンフォード大学 オンライン教育担当副学長室スタンフォードデジタル・ラーニングフォーラム (1名)広報担当(1名)事務局(副学長+4名)研究部門(3名)プラットフォーム開発・運用、技術開発(9名)科目デザイン・開発(6名)科目とメディア・プロダクション (6名)各種フォーラムブログ、情報発信、交流・Open EdX・その他のMOOCプラットフォームスタンフォード大学大学院生(教育学・工学・情報科学・デザイン…)学外機関(シリコンバレーITベンチャー、他大学、行政機関等)スタンフォード大学教員運営参加参加研究・分析科目開講科目開発支援開発・運用研究指導セミナーオンライン教育助成プログラム・科目単位の助成:1科目上限2.5万ドル・教育プログラムの助成:1件上限10万ドル

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です