カレッジマネジメント187号
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40全業種において、求人数は2ケタの伸びを示す図表3は求人数の対前年増減率を業種別に見たものである。建設業の+38.0%を筆頭に、製造業+24.9%、サービス・情報業+23.9%、流通業+23.5%、金融業+18.4%と全ての業種で2ケタの伸びを示している。一部の企業は中途採用で採用が難しいため新卒採用を実施する企業が見られるが、新卒採用においてもあとで触れるように求人倍率の高さから採用難が予想される。採用難が懸念される今回の求人倍率2015年卒の求人倍率が1.61倍という水準にまで達したこと、前年より大幅に上昇したことの意味について考えたい。求人倍率が上昇する局面で、2015年卒と近い倍率を示す時期として、アジア通貨危機の直前である1998年卒とリーマン・ショック前の景気回復期であった2006年卒がある。図表4には、それぞれの年における新卒採用の特徴をまとめているが、共通していえることは、学生にとっての就職機会は広がるが、一部の企業において予定人数を満たさない状況が起こったことだ。特に、求人倍率が数年間横ばいであったあとに上昇した2006年3月卒では、大企業だけでなく中小企業においても採用意欲が高まり、結果として中小企業や一部の業種において採用難が見られた。そのため、似た1998年卒1.68倍●円安を背景に輸出関連製造業や通信関連企業を中心に求人が増加●就職協定が廃止され、採用活動の時期が分散化、長期化した。採用活動の時期が分散化され、学生の就職活動の対象が以前よりも大手企業に向いたこともあり、中小企業の採用は苦戦した●採用計画に対して、基準を下げてまで計画を達成することはせず、自社の基準に見合った人材だけを採用する傾向が見られた2006年卒1.60倍●企業の業績回復と団塊世代の退職を控えたことを背景に、求人数が増加●前年までは大手企業が求人を増やし、中小企業は低調であったが、2006年3月卒より大手企業、中小企業ともに対前年2ケタの求人数の伸びを示す●中小企業、流通業やメーカーの技術職などで計画人数を確保できない企業が見られた図表4 過去の同水準の倍率時の新卒採用の特徴図表3 業種別 求人数の対前年増減率 (%) -5.5 -3.2 +0.8 +1.1 +1.0 +38.0 +24.9 +23.5 +18.4 +23.9 -10 0 10 20 30 40 50 サービス・ 情報業 金融業 流通業 製造業 建設業 2015年3月卒 2014年3月卒 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 2015年 3月卒 2014年 3月卒 2013年 3月卒 2012年 3月卒 2011年 3月卒 2010年 3月卒 8.43 0.38 0.47 0.49 0.60 0.54 0.55 4.41 3.35 3.27 3.26 4.52 (倍) 5000人以上 1000~4999人 300~999人 300人未満 図表5 従業員規模別 求人倍率の推移 リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014

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