カレッジマネジメント187号
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24産学連携といえば理工系の牙城であり、人社系とは無縁の世界だと思われているふしがある。しかし、産学連携はなにも理工系の特許ではない、その理念は形を変えて人社系でも十分活かすことができる。こうした発想の転換が契機となって、亜細亜大学では中国大連におけるインターンシップという、10年にもおよぶ取り組みが継続されてきた。通常、産学連携といえば、大学発の技術のシーズを産業界で製品にすることが想定される。日本でも、近年、それを推進するための様々な政策的措置もとられ、徐々に成果も出ているが、まだ十分とはいえないだろう。この産学連携を、人社系、とくに社会科学系にあてはめて考えれば、技術を産み出す人の育成ということになる。これまでは、大学における人材の育成と産業界におけるそれとは、往々にして別物と考えられてきた。しかし、「近年のグローバル化のなかで、産業界は苦しんでいる。大学も改革で苦しんでいる。そうしたときこそ、人を育成しなければならない。大学と企業とが連携して人の育成にあたる、そういう産学連携なんです。そうすることでこれからの日本にとって有用な人材を輩出することができるのです」と池島政広学長は考えている。大学の正規のプログラムとして、2005年より学生を派遣した。今でこそ、大学のインターンシップは珍しくなく、就職のための1つのステップとして利用する学生は多い。しかし、10年前にインターンシップを、これからはアジアの時代と見越して中国で実施する、それも正規のカリキュラムとして組み込んだプログラムは、他にあったろうか。先見の明というほかない。「アジア夢カレッジ」海外インターンシップを含んだこの正規のプログラムは、「アジア夢カレッジ」(通称「夢カレ」)という。これは、在学中の4年間にわたって継続する、4学部に共通に開かれているプログラムである。学生は、それぞれ所属学部がありその学部の要件にしたがって授業を履修するが、「夢カレ」を希望する学生は、それと並行してこの「夢カレ」独自の授業を履修する。学部の専門性とアジアや中国に関する専門性の両方を身に付けることができ、中国へ留学しインターンシップも経験することでキャリア開発もできるという、盛りだくさんな内容である。「夢カレ」のプログラムは、1年次から4年次まで3本の柱が貫く(図表1)。1本めは、専門分野に関するもので、「基礎ゼミ」、「応用ゼミ」、「成果指導ゼミ」などの約5名の少人数のグローバルはアジアから──「アジア夢カレッジ」リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014池島政広 学長CASE2亜細亜大学人材育成の産学連携

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