カレッジマネジメント187号
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21「むすびわざ」と表し、「新しい業(わざ)をむすぶ」ことのできる人材の育成を大学の使命とした。大学の設立趣意書にも、「研究及び教育が実社会から遊離することを避け、産官学共働の態勢を整えること」が理念として謳われている。創設以来、産学連携は京産大の教育研究活動の原点に位置づいてきたと言っていい。コーオプ教育に至る15年の歩みこうした歴史と理念を背景に、京産大のキャリア教育は2000年代以降、本格的な展開を見せ始める。1999年、大学コンソーシアム京都が行うインターンシップ・プログラムに参加したのを皮切りに、その後は、京産大独自のキャリア教育を追求し続け、GP等の外部予算を数多く獲得することでさらなる拡大・充実を図ってきた。現在のキャリア教育の充実ぶりには目を見張るものがある(図表1)。それはしかし、一朝一夕にできるものではない。過去15年にわたる果敢な挑戦に支えられたものだ。ただ、学内から批判がなかったわけではない。キャリア教育と聞くと、就職のための講座がイメージされ、本当に大学がやることなのかと疑念を抱かれがちだ。そんな疑念を払拭するためにも、GP予算(例えば、文科省の現代GPや学生支援GP等)の獲得は有効に機能したと中川理事は振り返る。もちろん、GP申請には周到な準備が求められる。採択されれば、当然、設定した目標達成に向けて取り組む推進力が必要になる。苦労も少なくない。しかしだからこそ、GPは錦の御旗として学内で説得力をもったという。GPの申請・採択が学内変革を後押しした好事例の一つが、京産大のキャリア教育だといっていいだろう。 京産大における過去15年に及ぶキャリア教育の歩みは、多様なインターンシップ科目の整備に始まり、その学外における実践を学内での学びと融合したO/OCF(オン/オフ・キャンパス・フュージョン)へと展開し、さらに理論と実践の融合を意識したコーオプ教育へと発展してきた歴史として描くことができる。あえて簡略化すれば、インターンシップからコーオプ教育への展開ということになる。その結果が図表1にあるような多様な科目構造に結実している。リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014中川正明 理事(学長特命補佐)大西達也 コーオプ教育研究開発センター課長特集 インターンシップの教育効果図表1 京都産業大学のキャリア教育プログラム教室で自分のキャリアについて考える (キャリアプラン領域= オン・キャンパス) やり直す (再チャレンジ領域) 実地でしごとを体験してみる (コーオプ教育領域=オフ・キャンパス) ポータル科目(自己発見と大学生活) 自分の大学マップをつくる=大学環境への適応を支援する科目 「オン・キャンパスでの学び」と「オフ・キャンパスでの体験学習」を融合するKSUコーオプ教育   目標は根幹的実力の養成 世界標準の 新たな プログラム あらゆる状況でもミッションを任せられる能力と志を備えたい学生のための 《長期有償IS》 むすびわざコーオププログラム 進路選択につなげたい学生のための キャリアプラン系科目群 課題解決でチームワークを極めたい学生のための 課題解決系科目群 就業体験で自分の社会性を高めたい学生のための インターンシップ系科目群 フィールドワークで地域社会を学びの場にしたい学生のための フィールドワーク系科目群 今の自分を客観視し、新たな第一歩を踏み出したい学生のための Re-デザイン系科目群 実践フィールドワーク インターンシップ1 むすびわざコーオプセミナー 就業力総合実習 O/OCF- PBL3 21世紀と 企業の課題 事後研究 《学部専門》《共通》 事後研究 自己発見と キャリア・プラン 大学生活と 進路選択 O/OCF- PBL2 O/OCF- PBL1 スタートアップ インターンシップ 長期有償 インターンシップ インターンシップ2 インターンシップ3 インターンシップ4 インターンシップ5 企業人と学生のハイブリッド インターンシップ6 キャリア・ Re-デザイン Ⅱ キャリア・ Re-デザイン Ⅰ

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