カレッジマネジメント187号
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18ています。流通も最近高卒の採用を増やしているようですから。岡崎 本来あるべき姿は、最終年次を迎える3年生の3月までには、どう生きるかの方向性をある程度、仮置きでもいいので決めた状態になること。大学の支援も必要ですね。大学の対応4──大黒さんは大学のキャリアセンターの方とお話しになることも多いと思うのですが、大学側の対応状況はどのような感じですか。大黒 大学と学生の危機感でいうと、大体3年生になって最初のガイダンスが行われるのですが、今年は2年生の3月に前倒しをする大学も結構見られました。学生の参加率も非常に高くなっていて、必ずスケジュールの話を聞かれます。──スケジュールの話というのはどんなことですか。大黒 就職活動スケジュールの変更そのものや、今までは先輩からどう動いたか話を聞いて動いていたが、前例があてにならないので、どう動いたらいいのか全然分からないといった内容です。 実は、選考期間は短期化しますが、企業研究や自己分析に、よりきちんと自分を知る準備をする期間は、3年生の4月から数えると11カ月間と長くなっているわけです。そこで、大学側からは8月までにいかに準備をさせるかという土台の部分を指導したいという相談をされるケースが増えています。 講座が始まる前に3年生に毎回アンケートを取るのですが、一番気になるのが、働くことや就職することに対してのマイナスイメージが依然強い点です。就職活動の前に、心の準備なり社会で働く心構えができている学生と、そうではない学生の違いが大きく出ている印象を受けます。一例ではありますが、工学系大学において、2~3年前から計画的に、1年時から必修で体系的なカリキュラムとしてキャリア教育を行ってきた大学と、対策講座のようなキャリア教育しかしてこなかった大学とで、内定率に大きな格差が出ている。そんなケースも実際にあります。俗に言う初年次からの計画的、段階的教育の重要性がここにきて高まってきていると思います。岡崎 学生の就職活動においては、自分でどんどん進路選択していける人と、こぼれ落ちる人に二極化しています。任意参加型だと意欲の高い層だけが来てしまう。大学を挙げての、キャリア教育科目の必須化などは、ボトムアップには欠かせない取り組みになりつつあるように感じます。──ではその事前準備として、大学はどのように備えたらいいのでしょうか。岡崎 今の3年生にとっては、年度後半をどう過ごすかだと思います。多くの大学が業界研究セミナーや職種研究セミナーを開く時期ですが、主催者の皆さんには、ぜひ大手・人気企業ばかり招かないようお願いしたいです。視野の狭い学生ほど、そこで見た会社が全てだと思ってしまう。こうしたイベントの事前・事後教育がないと逆効果になるリスクもあります。──つまり、選考期間内にやっていたことを業界研究セミナーなどで事前に疑似体験するということですね。岡崎 はい。これまでは例えば当初は「総合商社に行きたい」と思い、それに絞ってエントリーシートを提出したものの、4月の面接選考でうまくいかなかったり、あるいはそもそも面接選考の場に参加することもままならなかったりで、「それじゃ次は専門商社」と軌道修正する。しかしやはりうまくいかず、「そもそも商社だっけ?」と考え直して、最終的には別の業種に就職を決める。こうした“試行錯誤”を経て自らの進路を定めてきたわけです。ところが2016年卒からは、この“試行錯誤”の十分な時間が取れません。順番に探っていくのではなく、事前学習などで選社における自身のMust要件・Want要件を整理しておくことが非常に重要です。大黒 最近、授業の依頼を受けるのが、業界セミナーで企業と接点を持つ前や社会人の方に授業で講演をしてもらう前に、自分は何が大事なんだろう、それを確かめるために、どんな視点で話を聞けばいいのか、どんな質問リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014

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