カレッジマネジメント187号
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17二足のわらじが履けないスケジュール3──2016年卒のスケジュールの話が出ました。まず、どのように変わるのでしょうか。岡崎 採用広報活動開始時期、いわゆる広報解禁が、今の卒業前年次の12月から3月に、3カ月繰り下げられます(左下図参照)。そして2013年卒の際の、経団連倫理憲章変更の時には動かなかった面接選考解禁日が、卒業年次の4月から8月へと、4カ月やはり後ろに倒れます。内定の解禁は10月1日と変わらなかったため、面接選考が始まってから内定までの期間が、今までの半年からたった2カ月へと短縮されるのです。──これによってどんなことが起こると考えられますか。岡崎 就職活動ではよく、第1クール、第2クール、第3クール…といくつかの山があると言われてきました。まず面接選考解禁の4月、二つ目が5月、三つ目が内定解禁手前の7~9月あたりです。就職力・採用力の高い学生・企業から順番にマッチングが進み、学生と企業が共に試行錯誤を繰り返すことで、最終的に40万人以上の学生の就職先が決まってきたのです。2016年卒からは、これを8月から3月までに圧縮された期間の中でやらなければならないということです。大黒 来年は三つの山を作るのは期間的によほど緻密なスケジューリングをしない限り難しいでしょうね。岡崎 2016年卒は、面接選考解禁日の8月にまず一つ大きな山があって、その後は目立った山がなく、だらだらと進む感じになるのでは、と言われています。──短期決戦でどんな点に注意する必要がありますか。岡崎 選考期間が短期化すると、これまで時間をかけてやっとマッチングしていた層が、卒業に間に合わない可能性が出てきます。例えば選考過程に入って試行錯誤して初めて、本来目指すべき進路はこっちだ、と気づくようなタイプの人が時間切れとなり、就職が決まらないままに卒業を迎えるリスクがあるということです。一番避けなければいけないのが、このアンマッチの増加です。解決策の1つは、当初から視野を広げておくことでしょう。例えばこれまで東京の大学に進学した地方出身者が、まず先に東京、その次に地元で就職活動を行っていたならば、これを最初から同時に両方見ておく必要が高まるということでしょう。大黒 選考期間が2カ月しかなく、Uターン希望の学生は都市部と地元の企業を同時には受けられない可能性もあります。この2カ月をどう動くかという話になる。岡崎 以前は民間企業の就職活動と官庁訪問の時期もずれていましたが、2016年卒は8月で同時期に重なることが決定しています。つまり、公務員か民間企業かの選択も、早く決めなければいけないということが起こります。大黒 8月1日になってから選択するのでは遅いので、その前にしっかり考えて民間企業か公務員か絞り込む必要があります。──文系と理系で違いはありますか。大黒 理系は特に進学するかしないかも考えなくてはなりません。大学院の試験もこの2カ月間に重なってきます。大学院試験の勉強が十分にできなければ、就活がうまくいかなかったからといってやっぱり大学院に進学するということもできなくなるでしょう。岡崎 2016年卒からの就職活動は、“二足のわらじが履けないスケジュール”になっているのです。大黒 8月からの面接スケジュールを組むためにも、多くのことを7月末までに決めておかないといけません。大手メーカーなどは、9月15日が高卒採用の解禁日なので、大卒採用はそれまでに終わらせたいとはっきり言っリクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014大黒光一1988年、(株)リクルート入社。人材関連事業に従事し、営業時代はほぼ全業種の企業を担当。2012年、大学生を対象にビジネスの情報を伝えるウェブサイト『就職ジャーナル』編集長就任。特集 インターンシップの教育効果

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