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翻訳家が仕事をするときの心がけ

翻訳家が仕事をするときの心がけ

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翻訳家はどのような心がけで仕事をしているのでしょうか。日本語と外国語を置き換えるだけでは翻訳にはなりません。翻訳には緻密な表現力や幅広い専門知識が必要であり、苦労して勉強を続けることで翻訳の言葉の質は高くなっていきます。ある翻訳家に仕事をするうえで心がけていることを聞いてみましょう。

文脈や行間を読んで訳をつける

翻訳技術をする際の重要なことの一つに「コンテクストを読む」ということが挙げられます。これは「文脈を読む」という意味ですが、元の文章を書いた人、つまり筆者がどのような話の流れで、どういう方向に読者を導きたいかを念頭に入れながら、訳をつけていくことが求められます。この点に関しては、通訳も翻訳も共通の認識です。そうしなければ、話が通じないおかしな訳になってしまうからです。意味が通じない訳ができることを、業界的には「訳ずれを起こす」といいます。文章の文脈を読み、行間を読むことが次の翻訳に繋がるのです。
単に日本語と外国語を言い換えるだけではなく、なぜこの言葉を使ったのかを常に考えて、訳をつけていかないと訳が光らないと言われています。訳をつけるには必ず、元の文脈や行間を読んでいくことを忘れないように心がけていると、ある翻訳者は話してくれました。

翻訳で苦労すると言葉の品質が高くなる

翻訳はずっと座って作業をするので、ある意味では退屈であり、書き続けることは大変です。「A」を「A’」にする仕事ですから、1から作りだすのとは違って、かえってそれが難しいのだそうです。単調な翻訳では言葉は輝かず、クリエイティブな要素が入って初めて生き生きしてくるので、その点を磨くことを心がけるべきだそうです。それこそが翻訳者のだいご味だとある翻訳家は言います。
翻訳は厳密な訳出が求められる仕事であり、正確な訳をつける必要があります。同時通訳は品質と速度の両方が同時に求められる一方、翻訳は逆に成果物が文字で残るため通訳とは性格が違い、かえって難しいという人もいます。翻訳は書かれた文章としての責任も問われます。だからこそ、高いレベルが要求されるのです。
昔は『通訳になりたいのなら翻訳もしなさい』と言われたそうです。そのため、以前は会議通訳をした人は技術翻訳もかなりできたのですが、最近は「私は通訳なので翻訳はしません」という人がいるのだそう。翻訳をしないと、文字で苦労していないので、外国語ができあがっていないだけでなく、言葉の使い方があまり上手ではない通訳になる可能性があるそうです。翻訳で苦労すると言葉に関する緻密な表現力や深い専門知識が身につくからです。
通訳は即座に訳す力が求められます。ゆっくり調べている暇はないのですが、だからこそ、翻訳をすることで言葉に対する品質が高くなることを忘れないようにしてほしいということでした。言葉は生きているので、訳をつける側としても時代に取り残されないようにすることが大切なのだそうです。

取材協力

轟なぎさ(とどろき・なぎさ)

20歳からNHK通訳を経て上智大学と同時通訳者養成学校卒業後、プロ同時通訳者・技術翻訳者になり、PRコミュニケーション&会議通訳エージェント、アンクレア株式会社を設立。米国テンプル大学大学院にて教育学修士課程及び博士課程首席卒業。300社以上の民間企業及び政府関連の同時通訳の就業実績20年以上。NTV衛星生同時通訳、マーケティング&PRコミュニケーション業務、広報関連のメディア・イベントおよび記者会見等の同時通訳実績だけで1,000回以上、現在に至る。

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