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翻訳家の楽しいことと大変なこと

翻訳家の楽しいことと大変なこと

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翻訳家は自宅で黙々と一人で作業をするため、でき上がった成果物が仕事のすべてになります。そこには翻訳家なりの楽しさと大変さがあるそうですが、いったいどのようなことでしょうか。また、同時通訳としても活躍するある翻訳家の楽しいこと、大変なことも聞いてみましょう。

楽しいこと

翻訳をしていて楽しいことは、いろんな話題や世界に出会い、さまざまなことを学べることだと言います。探求心が旺盛な人におすすめしたい職業であり、知りたい、聞きたい人には合っているそうです。ある翻訳家は学んでいくことが楽しく、例えばナノの世界や遺伝子組み換えなど、日頃は目にしない世界の話を目にすると、つい引き込まれると言います。何に対しても魅力を感じて進んでしまうので、それが言語力を高めていると感じるそうです。いろんなことに興味をもつと、その現象に酔って同化していき、ある世界に没頭しながら仕事を仕上げてやがて納品することになるので、展開にワクワクしながら一つの作品を読んできたかのように感じるそうです。展開を追う感覚で仕事ができるのはとても楽しくおもしろいと話してくれました。
さらに、契約書を翻訳するとその書き方を、プレゼン資料を翻訳することでは視点や構成が学べるので、役に立つしおもしろいのだそうです。これは、知的探求心も含む「インテレクチュアルジャーニー(知的な生活や歩み)」がないとできないことで、本当に言語が好きで学ぶことに喜びを感じる人の楽しみだと言います。
典型的な翻訳の成功例が『ハリーポッター』です。翻訳者は元会議通訳者で、とても勤勉家だったそうです。地味でも着実に実力をあげておくとチャンスが巡ってくるという例で、出版物のおもしろみはここにあるそうです。夢を見るのはなかなか難しいことではありますが、有名な著書や作品に出会って、ヒット商品になると翻訳者としても大きな成功をおさめられる、という一例になります。

大変なこと

翻訳者として怖い点は、成果物が書類や出版物として残るので、人によっては誤訳を疑われることもあると聞くことだそうです。業界のなかにはクレーマーに遭遇した人もいるそうです。
ある翻訳者は以前、短い映画を翻訳する仕事をしたそうですが、あまりにも大変だったので1本でやめてしまったと話します。当時は映画にスクリプトがなかったので、音声を何度も何度も聞いて訳すのですが、雑音がたくさん入っていてよく聞き取れないのだそう。さらに、訳がどうやっても出てこないため、国会図書館で調べてもわからなかったのだとか。
料理家は卵をどうひっくり返してもいいですが、焦がしてはいけないのと同じで、調べても訳がでてこないのは困ります。そういうときはかなりのフラストレーションを感じるそうです。
現在はインターネットでほとんど調べられる時代ですが、それだけにさまざまな訳があり、適切な翻訳がみつからないときにどこで妥協するかという葛藤があるそうです。翻訳は活字で残る成果物なので、訳の質をどこで終えて納品するかがポイントです。納期があり、赤字を入れてもらうことはないので、どのあたりで自分で納得した訳でよいかを見極めるのかが、翻訳をしていて一番難しいところだそうです。
映画やテレビ、歌にはスラングがあり、ネイティブでないとわからないことが多くあります。言葉は生きているので、新しい言葉がどんどん生まれます。例えば、何かを食べて「やばい」と言ったら、それをどういう意味に捉えるのかということです。「おいしくてやばい」というイエスの意味なのか「まずくてやばい」というノーなのか、両方の意味がとれる言葉は訳しにくいそうです。
また、日本語の名詞には単数や複数がないことが苦労することの一つだそうです。すずめが木にとまっているといっても、1羽か10羽かわかりませんが、外国語はどちらかにしないといけないからです。その点で松尾芭蕉などの作品に訳をつけるのは難しく、翻訳作業における言語の壁だと言います。結局はわからないので、決め打ちして外国語にするしかないのだそうです。特に、英語の場合は単語が少ない分、語義がたくさんあるので訳しにくいとも話していました。

取材協力

轟なぎさ(とどろき・なぎさ)

20歳からNHK通訳を経て上智大学と同時通訳者養成学校卒業後、プロ同時通訳者・技術翻訳者になり、PRコミュニケーション&会議通訳エージェント、アンクレア株式会社を設立。米国テンプル大学大学院にて教育学修士課程及び博士課程首席卒業。300社以上の民間企業及び政府関連の同時通訳の就業実績20年以上。NTV衛星生同時通訳、マーケティング&PRコミュニケーション業務、広報関連のメディア・イベントおよび記者会見等の同時通訳実績だけで1,000回以上、現在に至る。

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